数珠とは
数珠について
数珠は古来より日本人の生活や文化に深く根差している法具であり、社会生活の中において欠かせないものです。
元々は木の実などをヒモで繋ぎ合わせたものを、そろばんとして使用したのが数珠の起こりとされています。そしてそれが後に宗教用の礼拝具として使用されるようになりました。
古代インドを発祥とし、中国を経由した後、日本には鎌倉時代の頃に一般仏教信者に普及し始めたと言われています。宗教上の礼拝具として新たな用途として使われ始め、それ以降拝むための道具として、数珠は様々な宗派で使われてきました。
最近ではファッションアイテムとしても取り入れる人が多く、災厄から身を守るお守りとして、幅広い年代の人に親しまれています。
数珠の起源
数珠の始まりには諸説ありますが、その昔、お釈迦さまが唱えた「百八の木謙子の実を繋いで、いつも手にして心から三宝の名を唱えなさい。そうするれば煩悩が消え、災いも無くなります。心身も楽になるでしょう」という言葉が由来とされています。この言葉は『仏教木謙子』にて説かれています。三宝とは仏・法・僧のことで、三宝の名とは「南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧」と唱えることです。木謙とは、羽子板の羽根の重しの木の実です。この釈迦の教えが経典となり、世間に広く知れ渡るのは釈迦が涅槃に入ってから五百年ほど経たのちですが、その間にひとつひとつの珠に意味がつけられ、経典にも説かれることにより、仏教の法具としてなくてはならないものになっていきました。
仏教が中国から日本に伝わった際、数珠も共に日本に伝わることになります。聖徳太子が愛用した蜻蛉玉金剛氏の数珠は正倉院に現存し、聖武天皇の遺品として水晶と琥珀の数珠も伝わっています。このことから天平年間にはすでに数珠が伝わっていたことになります。鎌倉時代以降には仏具として、僧侶以外にも広く親しまれるようになりました。
数珠の意味
数珠は仏事などで合掌する際手に掛けたり、揉むようにしてジャラジャラと音を出すようにして使います。数珠は念仏を何回行うか記憶する用途として使われていたこともあり、そのことから「念珠」と呼ばれることもあります。
宗派によって数珠の珠の数は違いますが、一般的には百八つの珠を繋いだものになります。これは煩悩の数と同じです。
数珠は身に付けているだけで功徳を積むことのできる優れたものとされ、厄除けや魔除けなどの効果もあるとされています。